「はたおり娘」は、いしげ結城紬の産地で製織しています。
結城紬の一番の特徴は、ふんわりとした真綿の風合いです。これは、動力織機によって織られるいしげ結城紬も同様です。いしげ結城紬は、軽くて暖かく、着心地が良いといった特徴はそのままに、技術の合理化により価格を抑えることで、手が届く結城紬として多くの方に親しまれています。
やわらかな真綿から引いた糸を、作業効率をあげての製織に成功したことが、いしげ結城紬の技術の特徴です。
四十数工程ある作業は、やはり熟練の職人達の手業により支えられています。
糸は、真綿から動力を使い手で引き出していきます。縦糸の場合はそこに更に細い生糸を絡ませ、補強します。

絣(柄)を作るには、柄表現によって様々な手法が選択されます。文様となる部分を括る、糸に直接色を刷り込む他、型紙を当てて捺染する手法等があります。これらの絣づくりの技術が、美しい柄の高い表現力につながります。

織りは動力織機を使用しての製織を行います。この織機の扱いには、手仕事とはまた違う技術力を必要とします。また絣が入る場合には、一本一本柄を合わせながら織っていく根気のいる作業になります。いしげ結城紬は、限りなく手仕事に近い動力を使って丁寧に製織される、温もりある布です。

最近は、高機で太く引いた真綿糸を織ったり、織り密度を変えてより風合いの良さを出した生地など、新しい素材感と技術が生み出されています。
織り上がった布は本場結城紬と同様、糊抜き・天日干しを経て、柔らかく着心地の良い布になります。
結城郡とこの産地が呼ばれるころ、北部結城町では本場結城紬が、南部石下町付近では、石下紬(経:絹、緯:綿)と呼ばれる交織織物が実用呉服向けとして織られていました。昭和中期になると実用呉服の中心がウールに移行し、これに伴い石下産地は生産を絹100%の高級品に変え、時代に対応しました。その後も真綿糸の動力織機による製織の研究を重ね、ふんわりとした真綿の風合いを残した製織技術の合理化に成功。「いしげ結城紬」の産地として現在に至ります。